魔王学院の不適合者第7話母の言葉
2千年前。神話の時代に人間・精霊・神を滅ぼし、暴虐の限りを尽くした魔王『アノス・ヴォルディゴード』は、絶え間なく続く戦争に嫌気がさしたことから、魔王城デルゾゲードに勇者カノン、大精霊レノ、創造神ミリティアを招き、戦争を終結させるための和睦を申し出る。その内容は、「怨恨を消し去るため、魔王の命と引き換えに、人間界、魔界、精霊界、神界の4つの世界を1千年は消えない壁で隔て、自らは2千年後に転生する」というものだった。
2千年後。魔法の時代に前世の記憶を持ったまま、とある人間の夫婦の子供として転生したアノスは、世界の魔法レベルが2千年前とは比べ物にならないほど低次元なものとなっていることを知る。そんなアノスのもとに、「魔王学院」からの招待状が届く。その学院は、かつての魔王城デルゾゲードであった。
入学試験でアノスは魔族の少女ミーシャ・ネクロンと知り合い、二人揃って合格を果たすが、魔力量検査と適性検査の結果、アノスは学院で初めての「不適合者」の烙印を押されてしまう。そして、転生した時代で「暴虐の魔王」として知られているのが自分ではなく、「アヴォス・ディルヘヴィア」という名前の人物だと知る。
平和が訪れたはずの二千年後に迫る理不尽を、魔王の理不尽が滅ぼし尽くす。
スタッフ
アノス・ヴォルディゴード
声 – 鈴木達央
本作の主人公。
二千年前に神話の時代の大戦において、人、精霊、神さえも滅ぼし暴虐の魔王と恐れられた魔王の始祖。しかし、実際には魔族を守るために戦っていたのであり、彼自身は深く平和を望んでいた。大戦を終結させるため、勇者カノン、大精霊レノ、創造神ミリティアを魔王城デルゾゲードに招待し、和睦を提案する。自らの体を魔力の通り道として、和睦を受け入れた3人の魔力をデルゾゲードの立体魔方陣に注ぎ込み、カノンに聖剣で胸を刺させ、自らの命を全て魔力に変えることで大魔法〈四界牆壁(ベノ・イエヴン)〉を発動。種族間の怨恨を消すことを狙い、人間界、魔界、精霊界、神界の4つの世界を壁で隔て、千年は開かない扉をつくり上げた。最期に、勇者カノンと、転生後の世界で友人として再会する約束を交わし、〈転生(シリカ)〉の魔法によって二千年後へ転生した。
二千年後の魔法の時代では人間のグスタとイザベラ夫婦の間に産まれる。産まれたときから言葉を話し、すぐに〈成長(クルスト)〉によって6歳相当まで成長する。転生後の体は、魔王の血を引いてはいるものの、人間のものである。ただし、知能、魔力、魔法技術、身体能力などは転生前と同様である転生から一ヶ月後、魔王学院デルゾゲードから招待を受け、入学するために再度〈成長〉を使い16歳相当まで成長し、魔族の国ディルヘイドへ一家で移住する。魔王学院の制服は「混血」を示す白服。
入学試験では、対戦相手を圧倒し実技試験を通過するも、その後の魔力測定で、魔力水晶が規格外の魔力に耐えきれず砕け散り、測定値が「0」になったことで、魔王学院で初の「不適合者」の烙印 を押されてしまう。また、世間に伝えられている「暴虐の魔王」の名前や人格が、転生前の自分と全く異なるものだと知る。
ミーシャ・ネクロン
声 – 楠木ともり
長く伸びた縦ロールのプラチナブロンドの髪に、蒼い瞳を持つ魔族の少女。アノスのクラスメイト。サーシャの双子の妹だが、皇族として扱われておらず、学院での制服は白服である。
魔法の時代で初めてできたアノスの友人で、入学試験の時に出会った。魔力水晶による魔力量の検査では周りの多くは3桁ほどだったのに対して10万246という数字を出しアノスを感心させた。魔法の中では創造をする魔法が得意で、班別対抗試験では〈創造建築(アイリス)〉で3つの巨大な城を創造した。
サーシャ・ネクロン
声 – 夏吉ゆうこ
金髪碧眼の魔族の少女。髪型はツインテール。ミーシャの双子の姉であり、七魔皇老の1人であるアイヴィス・ネクロンの直系の皇族。
視界に映るものの破滅因子を呼び起こし、自壊させる〈破滅の魔眼〉を持つ。このことから「破滅の魔女」と呼ばれており、混沌の世代の1人である。魔眼の発動時は眼に魔方陣が浮かぶ。完全には制御できておらず、感情が高ぶったときなどに無意識に発動してしまうことがある。
アノスのクラスメイトであり、学院の制服はミーシャとは違い黒服である。入学初日にアノスに興味を持ち、自分の班に入らないかと提案するも断られる。そこでアノスと、班別対抗試験で敗者が勝者の班に入るという賭けを行った。
班別対抗試験では班リーダーとして班を率い、アノスの班と対戦するも、桁違いな力の前に敗北。賭けに負けたことで、アノスの班に入る。
双子の妹であるミーシャのことは「出来損ないのお人形」、「ガラクタ人形」などと呼び、アノスの事も「雑種」と蔑んでいたが、班別対抗試験後にアノスの配下となってからは二人に対する態度も軟化した。